TL;DR 健保の30大項目には証明期限の5段階(永久・5年・3年・1年・個案評価)が対応している。実務上、「個案評価」の層には3ヵ月・半年といったさらに短い有効期限も含まれるが、本稿では説明の便宜上まとめて扱う。この設計は単なる行政上の便宜ではなく、健保が30年にわたって病程の予後と長期コストを積み上げてきた精算上の考慮を反映している。各層は一つの「状態判断」に対応しており、疾病が可逆かどうか、長期追跡が必要かどうか、治癒の可能性があるかどうか、急性事象後の回復期に当たるかどうか、といった観点が含まれている。このロジックをAI時代の文脈で見直すと、台湾国内にすでに存在していた「分級給付」の萌芽的形態であることが見えてくる。

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前回の記事で触れたように、日本側の協力相手のために資料を準備していたとき、健保署の「重大傷病項目」ページを開いた。そのページには30大項目の重大傷病が列挙されており、各項目の横に「証明有効期限」という欄があった。

期限を丁寧に見ていくと、興味深い対比が浮かび上がってくる。

難病:永久。 大多数の先天性代謝異常疾患:永久。 臓器移植後の追跡治療(骨髄を除く):永久。 運動ニューロン疾患:永久。 再生不良性貧血、肝硬変に合併する重篤な合併症:5年。 甲状腺がん、乳がん第1期、子宮頸がん第1期、口腔がん第1期:3年。 重症筋無力症:3年。 熱傷面積が全身の20パーセント以上:1年。 急性脳血管疾患:健保署の規定により、急性発症後1ヵ月以内に医師が直接認定する。

同じ重大傷病であり、同じ法規体系の下にありながら、証明有効期限の差は非常に大きい。なぜか。

簡単に言えば、難病の多くは制度上「長期的・不可逆的・終身ケアが必要な状態」と見なされるため永久が与えられる。一方でがんは、治療技術の進歩によりがん種や病期によって予後が大きく異なり、早期がんの中には治療後に長期安定が見込めるものもある。そこで制度は3年または5年を再確認のサイクルとして採用している。

この記事では、その問いに答えることを試みる。これらの期限の背後にある設計ロジックは、一見して分かる以上に深く、AI時代の観点から改めて見直す価値がある。30年にわたって機能してきたこの「期限分級」の設計には、「分級給付」の初期的な萌芽がすでに含まれており、AI時代に浮上しつつある精算化・個案化給付の潮流とも呼応している。


期限分級は行政の便宜ではなく、精算上の考慮を映している

この対照表を初めて見たとき、多くの人は直感的に行政上の便宜、あるいは資源配分上のトレードオフとして理解するだろう。実際には、この期限設計は健保が30年かけて蓄積してきた制度的な精算の結果の一つと見なせる。ここで言う精算とは財務計算にとどまらず、病程の予後、長期治療コスト、そして再認定頻度に関する総合的な判断を含んでいる。同じ期限対照表の背後には、疾病が可逆かどうか、医療技術の進歩速度、そして制度設計上の複合的な考慮が同時に反映されている。

この設計に段階構造が必要な理由は、制度が同時にいくつかの問いに答えなければならないからだ。この診断は将来変わりうるか。患者は終身投薬や追跡が必要か。重大傷病の状態を脱する可能性はあるか。医療技術が進歩した後、現在の「重症」は5年後に治癒可能または管理可能な疾病になりうるか。

疾病によって、これらの問いへの答えは異なる。同じ疾病でも、時間が経過すれば答えが変わることもある。期限分級とは、この「状態判断」を具体化し、各疾病に相対的に適した再評価のサイクルを対応させる仕組みだ。

5つの期限層、5つの状態判断

法規条文の細部をいったん離れ、病程と予後の観点から30大項目を証明有効期限で並べ替えると、おおよそ5種類の状態判断に分かれた構造的な分布が見えてくる。実務上、健保署が公告する対照表には3ヵ月・半年といったさらに短い有効期限も含まれるが、本稿では説明の便宜上、これらの短期有効期限を「個案評価」の層にまとめて説明する。

永久の層が対象とするのは、「不可逆」かつ「終身追跡が必要」な疾病である。難病(罕見疾病防治及藥物法による指定)、大多数の先天性代謝異常、運動ニューロン疾患、染色体異常、臓器移植後の追跡治療(骨髄を除く)、そして終身治療を要する全身性自己免疫症候群が含まれる。これらの疾病に共通するのは、診断が確定した後、患者の状態が「正常に戻る」ことは通常なく、現在の医療技術では単純に「治癒」という言葉では捉えきれないことが多いという点だ。「永久」という期限を与えることは、制度がこの種の疾病の長期性と不可逆性を認めている表れである。

5年の層が対象とするのは、「治療は有効だが長期追跡が必要」な疾病である。再生不良性貧血、肝硬変に合併する重篤な合併症、骨髄移植後の追跡治療、先天性免疫不全症などが含まれる。これらの疾病に共通するのは、病程が比較的安定していても変化の余地が残っており、一定期間ごとの再評価が必要という点だ。「5年」という数字は単なる行政上の期限にとどまらず、臨床で長期予後を観察する際によく参照される「5年生存率」の概念と、長期予後観察の時間軸において比較可能な背景を持っている。ただし、両者が制度上直接イコールであるわけではない。

3年の層は、主に治癒率の高い早期がんが対象だ。甲状腺がん、乳がん第1期、子宮頸がん第1期、口腔・口咽頭・下咽頭がん第1期が含まれる。これらのがんに共通するのは、早期介入後の治癒率が高く、治療後3年以内に再発がなければ治療効果が安定していると初歩的に判断できるという点だ。この種の期限設計は、制度が時間を使って「治療が安定して成功したかどうか」を観察する方法を反映している。

1年の層は、急性事象後の回復期に当たる。全身の20パーセント以上の熱傷、初回重大外傷(外傷重症度スコアISS≥16)が含まれる。これらの状況に共通するのは、事象そのものに明確な起点があり、1年程度の回復期を経た後に、後続の予後についての初歩的な判断が可能になるという点だ。

個案評価の層は、病状が高度に動的な医療状況を対象とし、有効期限は患者の状態に応じて段階的に調整される。慢性腎不全で透析が必要な患者を例にとると、長期透析が必要かどうかまだ確定していない段階では有効期限は数ヵ月程度で頻繁な再評価が求められる。長期透析状態に入ることが確認されれば、有効期限は永久に切り替わる。長期的な人工呼吸器使用が必要な患者も同様で、初回認定は42日、2回目は3ヵ月、3回目以降は1年へと段階的に延長され、使用期間の長さに応じて緩和されていく。急性脳血管疾患は急性発症後の特定期間内における認定の状況に当たり、健保署の現行規定では急性発症後1ヵ月以内に医師が直接重大傷病として認定でき、証明カードの取得前でも自己負担分の免除が受けられる。実際の有効期限と認定方式については健保署の最新公告と医師の判断に従う必要がある。これらの状況に共通するのは、患者の状態変化が速く、単一の固定期限を用いることが制度設計上適切でないため、医師が現場の状況に応じて判断できる余地を残し、短期有効期限から長期または永久へと段階的に移行することも認めているという点だ。

5つの層は5つの状態判断に対応している。並べて見ると、これは単なる資源配分ルールではなく、動態的な評価と精算ロジックを備えた疾病分類体系であることが分かる。

ICD-10コードの上に積み上げられた台湾独自の設計

第1回に書いたように、私がICD-10に接したのはウィキペディアからではなかった。大学で生命科学を学び、それ以前は臨床検査技師だった。当時、医療現場のコンピュータシステムで動いていたのがまさにこの疾病分類コードだった。

同じコードが、後に自分の家の中でも日常の一部になった。家族ががんで重大傷病制度に入ったことがある。3年ごとに証明を更新し、毎回の受診で追跡結果を待ち続ける。そのリズムを私は傍で見ており、自分でも経験した。だから健保署のあのページを開いたとき、見えるのは30大項目の対照表だけではなく、更新の背後にある、表には書かれていない時間のことでもある。

ただ、ICD-10コード自体は「この疾病は台湾の重大傷病制度においてどれくらいの期限が与えられるべきか」を教えてくれない。ICD-10は世界保健機関(WHO)が定めた国際疾病分類であり、世界共通で、臨床医学における疾病の分類方法を記述するものだ。台湾健保の重大傷病期限分級は、この国際コードと台湾の国内給付制度を結びつけ、さらに疾病が可逆かどうか、追跡が必要かどうか、治癒または安定管理の可能性があるかどうかによって、異なる診断を永久・5年・3年・1年・個案評価の各層に振り分けるものだ。健保署の公告を見ると、ICD-10のバージョンが更新されるたびに(たとえば2023年版のICD-10-CM/PCSへの移行時など)、重大傷病の診断コードの範囲と対照表も同時に改訂されていることが分かる。

この対応関係を素早く参照できるようにするため、私は30大項目に各ICD-10コード、証明期限、細分化された小項目を加え、4言語で検索できる構造化ツールページとして整理した。このツールページは現在、健保署が113年9月16日に発布した「重大傷病項目及其証明有効期限」を基礎とし、114年1月1日から適用されるものを収録している。また、健保署が114年4月28日に難病診断コード対照表を更新したことも注記しており、実際の適用については健保署の最新公告を参照されたい。このツールページを見ると、同じICD-10コードが台湾健保体系に入ると、さらに主項・小項・異なる期限に細分され、その粒度が国際コード本来の表現をはるかに超えていることが分かる。

つまり、30大項目を見ているとき、目に入るのは単純なICD-10分類ではなく、ICD-10が台湾健保制度に入った後、ふるいにかけられ、加工され、層化された版である。この制度的な判断は歴代の改訂の中で継続的に更新されてきた。健保署のウェブサイトには、少なくとも104年・108年・111年・113年版の「重大傷病項目及其証明有効期限」改訂履歴が確認できる。医学の進歩に伴い、かつて「5年」だった疾病が「永久」に調整されることもあれば、かつて「永久」だった疾病が新しい治療技術の登場によって定期更新に切り替えられることもある。がんを例にとれば、健保はかつて永久期限だった一部のがん項目を3年または5年の更新制に変更したことがあり、これは治癒率と5年生存率の向上を受けて制度の評価サイクルが調整された結果だ。

私はこの体系を見るとき、長期にわたって更新・微調整が続けられてきた分類器として捉えている。入力は診断・病程・個案の状態であり、出力は証明期限・給付資格・認定範囲だ。この制度はAIで構築されたわけではないが、AI時代のデータシステムが必要とする基本的な特徴をすでに備えている。明確な入力、追跡可能な分類規則、更新可能なバージョン、そして給付結果に対応した出力だ。30年の間に何度も制度調整を経たこの分類器は、すでにかなり精緻な判断規則を積み上げている。

この体系がAI時代の「分級給付」の初期プロトタイプである理由

「分類器」の視点でこの制度を見ると、もう一つのことが見えてくる。

世界の健保体系は共通の命題に直面している。医療資源が有限であり、患者のニーズがますます個別化していく中で、給付はどのように配分されるべきか、という問いだ。従来のアプローチは「同じ診断、同じ給付水準」に偏りがちだった。この設計は20世紀には十分有効だったが、精密医療・遺伝子治療・細胞治療・AI画像診断が大量に登場する現代において、均一化給付の限界はますます明らかになっている。

米国MedicareのValue-Based Payment(療効に基づく支払い)、英国NHSのNICE評価体系、日本厚生労働省の特定医療費(指定難病)受給者証制度は、それぞれ異なる方向で「個案・療効・リスクに応じた分級給付」の可能性を探っている。これらの潮流の背後には共通の技術的前提がある。制度そのものが、十分に細緻で、機械可読であり、継続的に更新できる疾病分類と状態評価システムを必要としているという点だ。

今から振り返れば、この期限分級はすでに分級給付制度が必要とする多くの要素を備えている。明確な分類、有効期限の設計、動態的な認定、バージョン更新、そして給付資格と連動したルールだ。30年にわたって機能し、ICD-10コードと連携し、「個案評価」という動態的な判断機制も蓄積してきた。AIのために設計されたわけではないが、AI時代の文脈で再び理解されるのに十分な構造を持っている。言い換えれば、台湾がAI時代の分級給付に向かう上で欠けているのは制度ロジック自体ではなく、この既存のロジックを改めてインターフェース化・構造化し、将来的にアルゴリズムがリアルタイムで参照できるデータ基盤として整備することだろう。

これは第1回で触れたことにも戻ってくる。データはすでにそこにある。次の進化はインターフェース層にある。

一枚の行政表が、実は一つの政策資産である

この記事は制度設計について結論を下したり、優劣を評価したりするものではない。現代の健保システムはいずれもまだ自己進化の途上にある。台湾の30大項目にしても、日本の特定医療費(指定難病)の体系にしても、完成した終着点ではなく、継続的に調整が続く制度設計だ。

私がやりたいのは、「行政の表」として扱われがちなデータを、本来あるべき政策的文脈の中に戻して理解することだ。これは30年にわたって機能してきた精算化された分類体系であり、制度設計の観点からは、AI時代の給付分級が最初に成型した国内プロトタイプの一つとも見なせる。今後10年で世界の医療給付が精密化・個案化・AI補助化へと向かうとすれば、「重大傷病期限分級」のような台湾国内の設計は、改めて理解され、インターフェース化され、国際的な対話の場に乗せる価値がある。

それが「再生医療テクノロジー」シリーズで少しずつ積み上げていきたいことだ。

第1回ではあのODTのページを検索可能なツールページに変えた。この第2回ではあの対照表を、より理解しやすい政策ロジックとして読み解いた。以降は制度層・産業層・技術層と、一つずつ補っていく。


用語対照(Glossary)

  • ICD-10-CM/PCS:台湾健保が現在採用している疾病診断・処置コードの基盤。ICD-10はWHO(世界保健機関)が発布した国際疾病分類。ICD-10-CMはICD-10を基礎とした臨床修正版で、主に米国NCHS・CMSが管理。ICD-10-PCSは入院処置の分類に用いられ、米国CMSが発布。台湾健保は2023年版ICD-10-CM/PCSへの移行と国内向け対照の整備を実施している。詳細は第1回用語対照を参照。
  • 重大傷病(Catastrophic Illness):「全民健康保険保険対象免自行負担費用辦法」第2条附表1に基づき指定された30大項目の疾病分類。重大傷病証明を取得すると、関連治療の自己負担分が免除される。
  • 難病(罕見疾病):「罕見疾病防治及藥物法」第3条第1項に基づき指定・公告された疾病。難病は自動的に重大傷病第30項に組み入れられ、証明有効期限は永久となる。
  • ISS(Injury Severity Score、外傷重症度スコア):国際的に用いられる外傷評価指標。全身6大部位(頭頸部・顔面・胸部・腹部・四肢・体表軟組織)の中でAIS(簡略外傷尺度)スコアが最も高い3部位を選び、それぞれを二乗して合算する。スコアが高いほど外傷は重篤であり、16点以上が「重大外傷」と定義される。台湾健保ではISS≥16を重大傷病第12項の認定基準としている。
  • Value-Based Payment(VBP、療効に基づく支払い):従来の「サービス量に基づく支払い」(Fee-for-Service)に対する新世代の給付モデル。治療結果、患者の予後、健康改善度などの指標に基づいて給付水準が決定される。米国Medicareは2010年代から段階的に導入を進めている。
  • NICE(National Institute for Health and Care Excellence):英国の国立医療・ケア卓越研究院。新薬・新治療法・新医療技術のコスト効果を評価し、英国NHSの給付決定の重要な根拠となる。
  • 特定医療費(指定難病)受給者証:日本厚生労働省が指定難病(台湾の難病に近い概念)患者に対して交付する医療費助成の証明書。疾病の重症度と所得階層に応じて給付が分級され、原則として毎年更新申請が必要。2015年1月の難病法施行前は「特定疾患医療受給者証」と呼ばれていた。
  • 分級給付:疾病の重症度・治療効果・個案の差異・リスク評価などの次元に応じて異なる給付水準を設定する制度設計。従来の均一化給付に対する発展的モデルである。

注記:本稿は公開データの整理と制度上の観察であり、医療・法律・健保申請に関するアドバイスを構成するものではない。重大傷病の資格、証明有効期限および適用範囲については、衛生福利部中央健康保険署の最新公告、医師の診断、および主管機関の認定に従うこと。


参照資料: